ウォルト・ディズニーが最初に作った作品は『赤ずきんちゃん』という作品だった。グリム童話の『赤ずきんちゃん』を現代風にしたもので、これはウォルトが映画用のコマーシャルを作る会社で働いていた頃の話である。この後立ち上げられた制作会社でも古典童話を改作したものを出した。そして、『白雪姫』や『シンデレラ』、『人魚姫』といった誰もが知っている古典童話を元に作られたディズニーの長編アニメーションは、「アメリカの民話」とも言い表せられるほどに原作に手が加えられた。
古典童話が読まれる事が少なくなり、原作よりもディズニー版の方が広まっている今日の現状について批判の声もあるが、それでも、今まで多くの人に親しまれてきたことは紛れも無い事実である。大きな変更にも関わらず、周りの支持が得られているのは何故か。それを知るにはまず、原作を知ることから始まる。
本論では、古典童話の「ヒロイン」に焦点を当て、原作のヒロイン達がディズニー作品でどのように変わったのかを調べ、そこに背景として見られるアメリカの女性史との関係について論じている。