概要
「協和性理論」は音と音の周波数がどのくらい離れていると協和音や不協和音と評価するのかについて研究した論文である。
今回はその協和性理論を元に、「二成分だけからなる最も簡単な複合音の協和性」について研究した西村らの研究の問題点について、更に追求した研究を行った。西村らの実験では低いほうの音440Hzが固定されていて高いほうの音だけが変化していたが、それでは音の移り変わり(旋律など)に対して「心地よいか」「心地悪いか」を判断してしまう可能性がある。そこで今回の実験では低いほうの音を440Hzから+-10%の範囲でランダムに変化させた実験を行った。
また亀岡等の実験では「澄んだ」「濁った」で判断していたが、一般人にとっては「澄んだ」「濁った」以外にも音の感じ方がある。今回の実験では「心地よい」「心地悪い」という評価の尺度で実験し、その場合でも協和性理論と対応した結果になるのかどうかを調べた。
今回の実験の結果から440Hzを固定していると、やはり被験者は音の移り変わり(旋律など)に対して「心地よいか」「心地悪いか」を判断しがちだと考えられる被験者がいた。
また被験者間で比較した場合、和音ごとの評価に大きな差が見られ、被験者6名全員に共通するような結果は得られなかった。2つの実験共に同じように評価している被験者が3名おり、そのなかで協和性理論の166セントを最不協和音とする結果に対応していた被験者は1名いた。この3名のうちの2名は協和性理論における純音の結果より複合音の結果に対応した評価をした。