複数の音声符号化方式が音像知覚及び音質知覚に与える影響 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成16年度卒業研究概要集] [平成16年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成16年度卒業論文
複数の音声符号化方式が音像知覚及び音質知覚に与える影響
木場 聡志

ネットワークを介したコミュニケーション手段として、テレビ電話等の動画や音声といった大容量データまで扱われるようになってきたが、現状のネットワーク技術で、符号化してない音源を共有する事は不可能であり、符号化を行い容量を小さくする必要がある。

過去の研究では、TwinVQでの符号化による音像知覚に及ぼす影響を調べる実験を行われており、結果では「方向知覚に影響は無く、また、音像が広がって知覚される」という結果であった。しかしこの研究で行った実験には聴取実験の手法に問題があり、本当に広がって知覚されているのか、ずれて聞こえていないのか解らない。また、広がって聞こえる原因が、TwinVQの特性なのか、符号化した音源全てがそうであるのかも判らない。

それらを補うため、MP3、OggVorbis、RealAudio、WindowsMediaAudio等の符号器を用い、左前方から聞こえる(正面を0度とし、左側に30度/60度方向)音源を使用し、一対比較法によって実験を行った。また、TwinVQも実験に使用するつもりではあったが符号化を行うソフトウェアが動作しなかった為、今回は使用出来なかった。

実験では音像の広がり、音像知覚の方向のずれ、音質の3項目に関してデータを取り、考察を行った。その結果、ずれ、広がり、音質全てが符号器に依存する事がわかった。また、RealAudio8とWindowsMediaAudio8、WindowsMediaAudio9の3種が原音であるWavファイルに近い結果となっており、この3種が、空間情報に比較的影響を与えず、原音の再現が可能である事がわかった。