テレビは、今、私達の身近なものであり、テレビ番組について話題にすることが多い。しかし、テレビについての話題は話し手によってその内容は大きく異なっている。それは、年齢によってテレビ番組に対する関心の違いが大きく関わっているためではないかと思った。こうした疑問を感じたのがこの卒論に取り組んだきっかけである。こうした予想をもとに、私は、世代の違いによって映像番組の理解や見方に違いがあるのかどうかを比較し分析することにした。
制作者側でもテレビ番組が特定の年齢層を対象にすることは必要不可欠になっているように見える今、テレビ番組の視聴者の間では年代で格差が生じ、誰もが一緒に見る事が出来る番組が少なくなっていると私は考えた。また同時に、別世代が同じ内容の番組を見る場合でも、番組に対する評価に差が出ると予想された。そこで、視聴者を、小学校2年生、20歳代前半、60歳代の3グループに世代を分け、この人々に特定の番組を見てもらい、アンケート調査をおこない、年代別の番組評価の傾向を探ることにした(調査対象:計 65名)。調査で視聴してもらった番組は、若者向け番組と予想されるバラエティー番組「SMAP×SMAP」(フジテレビ)の一部(およそ20分間)である。
アンケートでは、「番組のテンポ」「画面が切り替わる速さ」「会話内容の聞き取りやすさ」「聞き取りにくい言葉」「文字情報(多用されるテロップ文字)の評価」「番組内のゲームの理解」「出演者に対する好感度」「番組自体は面白いか否か」などの設問を設け、設問ごとに○印を付けたり、自由記述欄に記入してもらった。このアンケートの結果から三世代の反応分析をおこなった。
アンケートを回収し分析した結果、会話の速さや画面の切り替えスピードについては、どの世代も見にくさを感じ、不快感を示していた。また、文字情報の扱いや出演者の好み、番組全体に対する好みについては、高年齢層に否定的な反応が多少見られたが、世代ごとにあまり目立った偏りが見られなかったことは驚きであった。
この調査結果から考えて、テレビ番組が広く世代に受け入れられるには、特定の年齢層に向けて「面白さ」だけを追及したものでなく、広い年齢層の人々に見てもらう事を意識して番組制作をおこなうことが重要であると考えるにいたった。