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柴 理子 ゼミ 平成15年度卒業論文
いじめをなくす教育
村松 謙太郎

本論は、近年、社会問題にまでなった「いじめ」の定義、特徴、「いじめ」を生む要因、背景を挙げ、「いじめ」をなくすために、行政や学校などの機関が、どのような取り組みを行っているかを述べたものである。例として、「道徳教育」について中央教育審議会は「新しい時代を拓く心を育てえるために-次世代を育てる心を失う危機」と題した答申を出し、「今日の家庭における教育の問題は座視できない状況になっている」として、家庭教育のあり方について多くの提言を行っている。その骨子は、「会話を増やし、家庭の絆を深めよう」「朝の"おはよう"からはじめて礼儀を身につけさせよう」というものであり、「家庭の絆」「父親の影響力」「祖父母を大切に」といった言葉からうかがえるように、保守的・伝統的倫理観を反映したものといえる。私物化が進行し、社会の連帯性が危機に瀕している中、中央教育審議会、そして文部省は、社会の最小の単位でありその基盤でもある家族と、長い年月を経て受け継がれてきた根強い伝統的倫理とを結合して、この危機からの脱出を図ろうとしている。学校については道徳教育が挙げられている。学校現場で実際に用いられている道徳教育の方法として一般的なのは、読み物資料を用い、話し合いを中心とする授業であるが、放送番組を使った授業、ロールプレイングを取り入れた授業、価値明確化、モラルジレンマ授業などを導入し、その成果や課題を考察することで、「いじめ」の解決につなげようとしている。