本論は、コピーコントロールシーディー(CCCD)導入の経緯とデータ、ニュース、アンケート結果から、現時点のそれを取り巻いている状況を把握し、シーディー(CD)の売り上げの減少が、果たして導入理由として妥当か、また、それが指し示すものが何なのか、を検討しようとしたものである。初めに、これまでの経緯とデータを検証し、疑問点を明確にする。違法コピーが急速に蔓延していく状況を見て、音楽業界は駆け足でコピーコントロールを導入していった。しかし、消費者に対するサポート体制はずさんであり、不満の声が多くあがったのである。違法コピーがシーディー(CD)の売り上げに影響していたのは事実であるが、アンケート結果からはそれの購入枚数が減少した理由として、「よい音楽がない」という音楽業界の現体制への批判が見られた。実際、コピーコントロールシーディー導入後も、ミリオンヒットを飛ばすアーティストが存在しているのである。また、主消費者層の人口がシーディーの売り上げに関係していると考え、年毎の総売上金額を比較したところ、近年の売上金額が以前のそれに比べて少なくないことがわかった。次に、著作権と違法コピーとの関係を明らかにし、そこからコピーコントロールシーディー(CCCD)の問題点を明らかにしていく。シーディー(CD)の規格にはコピーに対するプロテクト要素が盛り込まれていないことが一番の問題である。このことから、シーディー(CD)に代わる、プロテクト要素を規格に盛り込んだ新メディアの開発が必須であると考えられる。しかし、現段階ではその開発意識が業界では乏しく、疑問を抱くところである。以上のことから、シーディー(CD)の売り上げ減少の理由が違法コピーと断定できないこと、音楽業界の体制やコピーコントロールについて見直すことが必要であると考える。