本論は1960年代に流行したファッションとその時代背景を検討し、現代の60年代ブームの要因を考察するものである。初めに、60年代前後の社会状況と当時流行したファッションの傾向を調べた。戦後から高度経済成長期の終わりである70年代前半までを取り上げ、60年代の社会やファッションの流行はどのようなものであったのかについて述べる。なかでも注目したのは、女性のファッションである。ここから、ミニスカートの流行が、女性の社会的地位の変化を背景として生じたことが明らかになった。また、現在にいたるまでのミニスカートの流行時期が女性の社会的変化と重なり合っていることも指摘している。最後に、90年代以降の時代背景とファッションについて調べてみると、60年代ファッションの流行が見られることがわかった。そこで、60年代と90年代以降の状況を比較し、その関連性を探った。新しいものが次々と生まれている現代は、60年代と似た時代背景にあるといえる。しかし、その反面、長い不況の時代でもある。このような状況の中で、現代人が古く温かみのある60年代を懐かしみ、当時の明るさや華やかさを求めて、60年代ブームが起こっていると考える。