この研究で扱うのは、景観評価である。まず景観とは、街並みや家屋のたたずまいなどの、眺められる対象を指し示す「景」という文字と、それらを眺める主体である人間の感覚を表す「観」という文字が組み合わされた言葉である。その景観を評価するのが、景観評価と呼ばれる。景観評価とは、それら人間の感覚的な、データとして扱うには「曖昧な」イメージを定量的に把握する試みである。
本研究は、過去、幾度となく行われた景観評価に対して、一種のモデル--評価モデルを構築出来ないか、というところから始まった。だが、結果として、モデル構築はならず、景観評価の一形態を示すに留まった。
以下は、本研究で行った作業の簡潔な説明である。
@ 景観評価のための評価モデルを構築するにあたって、既存の景観評価を行う。
A その景観評価から得られた結果を分析し、モデル構築のヒントとする。
考察の結果、評価モデル構築には、膨大な研究・データの蓄積と、モデルに関する明確なビジョンが必要だと気づかされた。必要なものを揃えられず、モデルに関しての研究は途上で終わっている。したがって、本研究で具体的に行った内容は景観評価のみである。CGを用いない通常の景観写真を用いての景観評価アンケートを行い、結果を集計した。そこから、評価モデル構築の一助となるいくつかのヒントを得たことで、本研究のまとめとしている。