現在米国同時多発テロ(以下事件)から2年が経ち、事件への関心が薄らいでいる。しかしこの事件には多くの問題が潜んでおり、忘れてはならないと論者は考えている。
2001年9月11日、世界貿易センタービルやワシントンの国防総省などに航空機が激突し、世界中に衝撃を与えた。その事件後アメリカはアフガニスタンに対して空爆を行った。その空爆が正当であったか否かを問うために、自衛権の行使という視点から見てみた。空爆が開始されたのは事件から約一ヶ月後であり、自衛権の緊急不正の侵害に対する行動であるとはいい難く、先制自衛にあたるという結論に至った。しかし空爆への批判もあったものの、国際法違反として批判されることはほぼなかった。国連決議1368にアメリカの行動を認めるような曖昧な部分もあり、国連はこうした姿勢を今後改めるべきである。
事件当初のメディアがどのように報道していたかを振り返り、その客観性の欠如を問うことにした。ナショナリズムが一気に高揚した事件当時、ジャーナリズムの基本である、なぜ、という疑問に問いかけようとする基本姿勢が崩れていた。今後はこうした状況でもメディアが持つ問題の分析、提言機能を十分に生かし、伝えるということが重要になるだろう。
事件をうけ話題になったハンチントン氏の論文や言葉を引用して、アメリカの今後のあり方を考えてみた。事件の対処を考える以前になぜこの事件が起こったのか、という問いが欠けていたと論者は考えている。彼は、アメリカは今後、西欧文明とは異なる文明に属する人々に西欧文明の普遍性を押しつけてはならないと訴えている。多様性を受け入れ、共通性を追求することが大切になるだろう。他文明、他国と協調をするならばその相手を知らなければならない。知らなければ何が問題であるかもわからない。知ることが平和への第一歩になるのだと論者は考える。