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大泉 敬子 ゼミ 平成15年度卒業論文
日本の難民保護体制〜現状と問題点〜
荒井 和代

現在、世界各地に約2500万人の難民等(帰還した難民、国内避難民、庇護希望者、無国籍者、戦争被災民も含む)が存在すると言われ、1995年には3000万人を越えるなど「難民問題」は現代社会の重要な問題となっている。まずは、現代の難民問題について理解を深めていくことから始めた。また、世界と日本の難民問題への取り組みを関連または比較しながら、日本の難民保護体制の現状と問題点、今後の課題について論じることにした。

「難民」とは、難民の地位に関する条約の第1条によって、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義されている人々を指す。様々な紛争により発生した難民救援や紛争によって生じた被害の復旧のために、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)をはじめとした数多くの機関が、それぞれの特色を生かし人道的精神に基づく救援活動を行っている。

日本は、UNHCRへの拠出額・政府開発援助の額が共に世界第二位であることに加え、日本のNGOは世界中の難民キャンプで活躍している。しかし、日本国民の難民問題に対する関心は著しく低く、他国に比べ難民受け入れ数が少ない。筆者は、我々日本国民はもっと「難民」また「難民問題」に目をやるべきだと考える。日本はもっと沢山の難民を積極的に受け入れていくべきではないのか。そのためには、難民保護体制の責任を行政に全て押し付けるのではなく、より多くの国民が日本の難民問題に関心を持ち国民と行政が協力し合っていくことが求められる。そして、日本は今まで通り、「精確な認定を行い、真正な難民申請者だけを保護しなければならない」という考えを忘れず、濫用の防止にもこれまでと同様に十分配慮を払う必要があるが、今後は、難民の保護を目的とする制度や運用面の改善にも力を入れていくべきである。そして、それは難民の保護という目的と両立するよう、より洗練されたものでなくてはならない。