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西村 明 ゼミ 平成15年度卒業論文
鍵盤ハーモニカのスペクトル解析
角野 康介

鍵盤ハーモニカは幼児教育の場でよく使用され、誰もが身近に感じられる楽器である。アコーディオンに似ている音色ではあるが、鍵盤楽器であると同時に、リードを使用することから管楽器ともいえる特徴がある。その特徴的な音色からJazzのセッションなどに使用されることも少なくない。様々な楽器音のスペクトル解析が行われてきているが、鍵盤ハーモニカの歴史は浅く、あまり研究が行われていないという事からスペクトル解析を行った。

実際の録音は、反射音のない無響室で行った。正確なスペクトルを得る為には一定の音量(吹奏の強さ)で取り込む必要がある。特にその部分に気を使うよう努めた。録音したwaveデータをpcに取り込み、cool editを使用しスペクトル解析を行った。

まず吹奏の強さが一定のデータを得るために同じ条件のデータ4回分を分析した。これらの間にあまりにスペクトルのずれがある場合には毎回吹くたびに違うデータになってしまうことになる。しかし実際には大きなスペクトルの差はみられなかったので、4回分を平均化し次の分析に使用した。次に吹奏の強さ別にスペクトルにどのような差がみられるのか比較した。その結果、高い倍音になるにしたがってレベルが下がる傾向にあることがわかった。基本周波数が高くなるにつれて高い倍音と低い倍音との相対レベルの差が拡がる傾向がみられた。特に低い倍音に基本周波数が高くなるにつれて相対レベルが上がる傾向が見られた。

次に和音での特徴的な響きを注目してみた。分析方法は和音の一つの音を取り出し、単音で吹いた時のスペクトルと比較した。互いの音が響き合うことでスペクトルが変化するのならば、それらのスペクトルは異なるはずである。しかし結果としては、相互のスペクトルを比較しても、あまりスペクトルの特徴的な違いは見られなかった。