ステレオをこえるマルチチャンネルオーディオの方式提案の歴史は古く,かっては4チャンネル方式などが民生用にも開発されたが普及はしなかった.近年,再びマルチチャンネルが提案されるようになり,映画の方式が家庭用に展開されつつある.しかし,これが普及するかどうかは,ディジタル放送が浸透していく中で,どれだけマルチチャンネルオーディオの効果が有効に発揮できるかにかかっている.

本論文ではBS・地上波ディジタル放送に用いられるマルチチャンネルオーディオの方式について検討し,その有効性についてまとめている。

また,方式の捉え方として,技術先行なのか,それともニーズ先行なのかという問題がある.マルチチャンネルオーディオやBS・地上波ディジタル放送も正にその流れの中のものである。何故この2つに消費者のニーズがあるのか?必要性はなんなのかを考察している。例えば、画質の向上であるとか、音質の向上であるとか様々な要因について検討している。さらに,この二つの方式は、双方が結びつくことによってどのような利点をもたらすのか,その相乗効果についても考察している.