企業や大学だけでなく個人でもインターネットを利用できる環境が整っている今日において、JAVAというプログラミング言語は、既存のプログラミング言語の欠点を踏まえて設計され、OSやコンピュータを選ばずに動作する完全なオブジェクト指向型の言語として、ネットワーク環境下での利用を強く意識して作られたものである.ネットワークを介したオーディオ情報が今後も増える状況から,オーディオ処理機能の充実が望まれる。今回、実際にJAVA言語を用いた音を取り扱う基本的なコンピュータ処理環境の構築として、音の編集・合成を行えるシンセサイザーの開発に取り組み、JAVA言語に対応したシンセサイザーの設計法について検討した。
本研究では、シンセサイザーの開発に向けてシンセサイザーの原理と構成を頭に入れた上で、開発に必要なJAVA言語について、音ファイルの取り込み・処理・再生までを提供しているJava.sound.sampledについて取り上げ、サウンドプログラミングを進めるために必要な知識を学ぶと同時に、個々の機能をもったサンプルプログラムの作成を行った。また、JAVA言語を用いた音ファイルを取り扱うプログラミングの最に必要となるクラス・インターフェースについてとりあげ、サンプルプログラムを元にそれぞれ個々の機能を持ったプログラムを作成する方法を示した。
開始当初はシンセサイザーの各機能をJAVA 言語で置き換えて表現していこうという考えがあったが、JAVA言語では個々の機能が独立しているのではなく、それぞれが関連性を持つことによって動いており、それにより効率良く様々な表現が可能になっているということがわかった。