最近インターネットストリーミングという技術が注目されている。これは、ネットワークを利用して映像や音声、つまり音楽や映画、ビデオコンテンツなどをオンラインで配信するもので,受信だけではなく自ら配信もできることから,プライベートな放送局やTV会議等を容易に立ち上げることができる.
本論文は、高品質なインターネットストリーミングの設計基準を明確にすることを目的としている。現在、パソコン・インターネットの飛躍的な進歩とともにインターネットストリーミングの性能も向上しているが、オーディオおよびビデオ信号は限られた伝送速度に適合できるよう,圧縮符号化がおこなわれている.オーディオ符号化についてはCD並の品質を維持することが目的とされているが,必ずしもこの条件を満足しているとは限らない.
研究の内容は、インターネットストリーミングのサービスを構築するためのアプリケーションとして「Windows Media Player」と「Real Player」をとりあげ,それぞれの特徴を考察した.ふたつを比較した結果、ユーザーが「画質・音質」を求めるのか「即時再生」を求めるかによって、どちらのアプリケーションを使うかを判断する必要があることがわかった。
また,圧縮に対して劣化が心配されるのがバイノーラル方式への影響である.鼓膜への音の伝播特性を模擬した同方式は立体的な音響効果が得られるため,臨場感による音の明瞭性の向上が期待される.オープンキャンパス会場での,ダミーヘッドを利用したインターネットストリーミングの実験では、その効果が維持できることがわかった。