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小泉 宣夫 ゼミ 平成15年度卒業論文
超広帯域成分を含む音楽の録音に関する研究
岩本 拓也

人間の可聴周波数の上限は20kHz とされていることから,CDのサンプリング周波数はそれをカバーする44.1kHzに設定されている.しかし近年、ディジタルオーディオのサンプリング周波数を高く設定し,100kHz近くまでの高周波成分を取り扱うことができるようになっている.これは,人間の聴覚の周波数特性について議論が進む中,超高周波数成分も含めて記録しようという動きと連動している.超広帯域録音を行うには様々な課題がある.ディジタル系では記録形式に関する問題,アナログ系ではマイクロフォンやスピーカーなどの収音・再生系の設計法,録音技術的にはマイクロフォンの設定方法などがあげられる. 

今回、周波数特性100kHzのマイクロフォンを使用した録音作業実験の現場に立会う機会に恵まれたので,本研究では、その経験をまとめ,超広帯域録音に関する問題点を論じた。対象としたのはアジアの民族楽器のソロ演奏を取り入れたオーケストラ曲の演奏会であり,篳篥など特に超広帯域成分が顕著に含まれる音源を収音し,その効果を検証した.その結果、帯域の上限、録音した時に発生する高域に残ったノイズの処理、周波数帯を可聴域と高周波成分に分割した時のフィルタが及ぼす影響についてなど,広帯域化における問題点をいくつか明らかにした。