本論では地上波デジタル放送のメリットとデメリットを取り上げ、さらには総務省の政策などにも検討を加えている。
そのメリットを説明すると、デジタル放送はアナログ放送よりも電波を使う幅が少しですむ。現在、電波を使う物が数多く存在する。限られた資源である電波を有効利用するために、アナログ放送のように電波の真ん中を占めていては無駄であり、デジタル技術という圧縮技術を使うことになった。これを使い、テレビの放送も電波の真ん中ではなく、端に寄せることになった。さらには端に寄せるだけではなく、圧縮技術を使って、これまでにない新たなサービスを行うことになった。そのサービス内容とは、高画質・高品位音声、データ放送などの併用・双方向テレビ、多チャンネル化、編集作業の合理化などである。論文ではそのひとつである多チャンネル化について、CS放送を例に検討している。
しかし他方でデメリットもある。衛星から家庭に番組を届けることができれば画面の映りは問題ないが、始まったばかりのデジタル放送は地上波を使うことで難視聴の問題が生じる。さらにはデジタル化するためにアナアナ変換という作業が必要になるが、政府が全国のテレビ局利用の電波状況を調べたところ、アナアナ変換を要する世帯は246万世帯に及ぶ事が判明し、その対策に要する費用も852億円にのぼると発表された。この費用は電波利用料で補われるが、結局は我々国民が払うことになる。さらに地方局が生き残っていくために何をするべきなのか、といった問題も本論は検討している。
最後に本論では、いつごろテレビを購入するのが望ましいかという身近な問題を取り上げている。2011年で今あるテレビは使えなくなる。チューナーを購入するか、デジタルテレビに買い換える必要がある。その切り替えのタイミングなども検討している。