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伊藤 敏朗 ゼミ 平成15年度卒業論文
チェコアニメーションについて
鈴木 佑典

チェコのアニメーション映画の水準は、世界的に高く評価されており、わが国でもファン層をひろげつつある。本論は、チェコアニメーションの誕生と発展、作品の特色や傾向などを明らかにし、さらにその文化的背景や産業としての側面などを調査し、報告するものである。まず、アニメーションとは何かを考える。「アニマ」つまり「いのち」を与えるという概念は、アルタミラの洞窟壁画にまで起源をたどれること、そして19世紀頃に生まれた各種の視覚的玩具から、現在のアニメーションへと発展してきた系譜について調べ、この間に生み出されたさまざまな種類のアニメーションについて分類する。そして、このようなアニメーションの歴史のなかで、チェコアニメーションはどのようにして生まれ、その特色はどのように位置づけられるかなどについて明らかにする。歴史的にみると、チェコでアニメーションが発達した理由としては、同国の映画産業がすべて国有化された中にあって、カートゥーンやアニメーション映画はお遊びととらえられ、経済的にも見返りがないと考えられため、国家権力の干渉を被ることが少なかったということが大きい。その後、次第に共産党が権力を握った1950年代になると、アニメーション映画の批判的な態度とコスモポリタンな性格にたいして権力の干渉が加わるようになり、子ども向けの、イデオロギー的に健全な、説明的かつ教育的なものだけしか制作が許されなくなる。1989年の「ビロード革命」後、国立スタジオが民営化され、アニメーション作家達は経済的困難に見舞われたが、表現上の自由が獲得され、すぐれた作品群が誕生していった。本論では、このようなチェコアニメーション映画の系譜や、各時代ごとの代表的なアニメーション作家の作品について紹介していく。現在チェコでは、テレビで高い視聴率をとれる作品が増える傾向にあり、伝統あるチェコアニメーションも次第に変貌を遂げつつある。このようなチェコアニメーションの過去・現在、そして未来について述べる。