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石井 政弘 ゼミ 平成15年度卒業論文
3次元分析を使用したフィードバックの研究
川口 貴範

本研究は3次元分析を用いて被験者にフィードバック情報を与えることが、運動学習に効果はあるのかの課題を考えて実験を行ったものである。

野球未経験者1名を被験者、野球経験者の2名を参考選手として用いた。実験方法は、まず被験者に投球を行わせ、被験者と参考選手を比較したフィードバック情報を与えた。その後被験者に2度目の投球を行わせ、さらに2度目の投球データと参考選手を比較したフィードバック情報を与えた。最後に3度目の投球を行わせた後に、すべての動作の(1)左膝の高さ変化、(2)左脚着地時の左肘の角度、(3)身体重心の高さ変化、(4)身体重心の移動距離、に着目し詳細な分析を行った。

左膝の高さ変化は、1度目の投球で左膝の高さが約60cmであったが、1度フィードバック情報を与えると、2度目の投球では約100cmと、参考選手と同様の結果が得られた。また、3度目の投球でも約100cmと同様の結果が得られた。左脚着地時の左肘の角度は、1度目の投球で約130度だったが、1度フィードバック情報を与えても約100度と変化がなかった。これは情報を与える際に左肘の角度の他にも情報を与えたため、1回では多数の情報に対応できなかったと思われる。そこでもう1度情報を与えると、3度目の投球では160度となった。身体重心の高さ変化は、身体重心に関する情報を被験者には与えなかったが、2度目の投球からは参考選手と同様の変化がみられた。これは、左膝の高さを修正したことで身体重心も変化したと思われる。身体重心の移動距離は、被験者の1度目の投球では約60cmであったが、2度目は約90cm、3度目は約90cmと参考選手と同様の結果が得られた。これは左膝を上げたことにより身体重心の変化が起こり、移動距離も長くなったものと思われる。

本研究では被験者が1人だったが、被験者の人数を増やし、与える情報の回数も増やすことで、より多角的な分析を行うことができると思われる。