本研究は、バスケットボールのシュートフォームはショットポイント、特に距離によってどのように変わるのかについて研究したものである。
バスケットボールのシューティングは、ゲーム中様々な場面で行われている。その中で角度45度、距離2m、4m、6m、8mの位置を分析対象に設定、それぞれの位置に3m四方の空間を想定し、そこで被験者2名にシューティングを行なわせ、ビデオカメラで撮影した。その際、多くの文献等からの、「シュートリリースは腕の力でボールを飛ばすのではなく、膝のバネを生かしながら、手首のスナップを効かせ、指ではじくようにリリースする。」という見分を参考とし、それぞれの距離でのシュートフォームの違いを、肘角度、膝角度、頭頂点の高さに着目し、分析・考察した。
肘角度では、被験者ごとに異なり、1人は利き手の屈伸が距離によって変化したが、もう1人には変化が見られなかった。膝角度では、大きな変化として、シューティングの際の跳躍があった。それは、一方は2mのみ、もう一方は6m、8mで跳躍を行なっていた。両被験者において、膝角度には2mと8mで10度以上の差があり、ゴールからの距離が離れるほど、より曲げていることがわかった。頭頂点では、それぞれの身長の差はあったが、共通して8m距離からのシューティングでは、被験者の身長より‐10cm以上の大きな沈み込みが見られた。その他は、跳躍の有無が変化幅に影響したこと。そして、定性的なフォーム分析からは、リリース時にも大きな影響があると見受けられた。
結論として、バスケットボール選手はシューティングフォームは個人差はあるものの、ゴールからの距離が2〜8mの間に、膝の屈伸を大きくしたり、姿勢全体を低く構えたり、さらに跳躍を加えることなどによって、ボールの飛距離を確保し、ゴールとの距離に対応して、シュートフォームそのものを修正しているものと考えられた。