私は卒業論文のテーマとして、ミステリ作家の宮部みゆきを選んだ。私は今まで読書というものをしなかったが、宮部の作品に出会ったことで、ミステリ小説にのめりこんだのである。そのきっかけとなったのは『模倣犯』という作品で、本文中でも大きく取り上げている。
本文は大きく過去・現在・未来の三つの章に分かれている。まず過去の部分である第一章では宮部の生い立ちと作品の特徴について触れた。ここでは宮部がどのような環境で作品を生み出しているのか、また作品に対してどのような事を考えているのか等、執筆活動の裏側が垣間見えると思う。続く第二章では、宮部作品の中で最も知名度があるであろう、『理由』と『模倣犯』について触れた。特に『模倣犯』に関しては個人的に思い入れがあり、本文の山となっていると思う。宮部と映画監督・森田芳光の対談を参考に、原作と映画版の比較も行った。そして、第三章では未来の部分として宮部作品の人気の理由について論じた。この章では参考として、中島誠著『宮部みゆきが読まれる理由』を使用した。宮部作品の人気の理由を大きく三つに分け、それぞれに対して自分の意見を述べている。
私は卒業論文を通じて宮部みゆきという人間を詳しく知ったことで、結果的に前よりも宮部作品が好きになった。また少し違った視点で作品を読めるようになった。