私は小学校の頃からずっと、サッカー、剣道、水泳という様にスポーツばかりしていました。そんなこともあって、今でも体を動かすのが大好きです。しかし、小学生の頃の私は辛いことがあるとすぐに諦めるという、情けない子供でした。そんな感じで、水泳と剣道は途中で投げ出してしまい、サッカーばかりしていました。しかし、あまりゲームや勉強をしない子供だったので、家にいるときにすることがほとんどありませんでした。そんな時に、この「流れ星銀牙」に出会ったのです。私の父親が仕事場で、みんなが読まなくなった本を四冊もらってきてくれたのです。それがこの卒論のテーマの「流れ星銀牙」だったのです。それまで漫画本というものをしっかりと読んだことがなかった私は、子供ながらにこの本にとても衝撃を受けました。はじめは「この汚い本はなんだろう?」位にしか思っていませんでしたが、夢中になるのに時間はかかりませんでした。私はその四冊をすぐに読み終えてしまい、早く続きが読みたくて仕方がなくなり本屋に向かうと、うれしい事に続きがたくさん売っていました。幸いにも私がこの本と出会ったのは、この本の第一巻が発売されてから三年の月日が流れてからでしたので、新刊を待つという辛い思いを味わうことなくすんなりと続きを満喫することができたのです。そんな出来事も、私が「流れ星銀牙」に深い思い入れをするようになった要因の一つだと思われます。しかし、こんなにも大好きな「銀牙」を知っている人が、極端に少ないという悲しい現実があります。そこでこの卒論を機会に、多くの人に「流れ星銀牙」のすばらしさを知ってもらおうと思い、このテーマにしました。
流れ星銀牙は、雪深い山奥の小さな観光地であるスキー場に、赤カブトという巨大な熊が現れ、人々を襲い始めるところから始まります。その凶暴な熊から人間を守り、自分達の縄張りを守ろうとする、人間に捨てられた犬達が、全国に散らばり、本物の男を集めて狂熊達に立ち向かっていくという物語です。その犬達の友情や親子の絆、そして人間との関係が、高橋よしひろ先生の独特の世界観で描かれた、とても素晴らしい作品です。
この卒論は、1984年から1988年まで少年ジャンプで連載されていた「銀牙-流れ星 銀-」についての論文です。その作者である高橋よしひろさんの人物像や、その他の作品について紹介し、銀牙のあらすじを漫画に添って綴っています。この銀牙は二部構成になっていて、第一部が「打倒赤カブト編」で、第二部が「狼帝国編」になっていますが、この卒論ではより思い入れの強い第一部を紹介しています。