今回の卒業論文では法学を取り上げることにした。これは私が4月から警察官となり、警察業務を遂行するに当たり、必要となる知識だからである。法学には多くの法律があるが、警察業務に関わりの深い「刑法」をまとめていくことにした。
さらに、論文では刑法第三五条の「正当行為」、第三六条の「正当防衛」を中心に展開を進めていった。判例基本六法や、書籍を参考にし、想定事例を挙げた。それについて、まず、事件の概要を明確に述べ、事実の確認をし、事件の争点、そして、最後に解説をした。この手順で事件を細かく追っていくと、加害者、被害者のそれぞれの性格や立場、動機、さらに、事情など、いくつかの要素を絡めながら事件を分析していくことが理解できた。刑法で規定されたいろいろな犯罪類型を実際の事件に適用するには、一定の手続きを経なければならない。犯罪の発覚から、認知、捜査、起訴、裁判といった一連の手続きなどが存在するのである。これは犯罪を規定する実体法に対して、手続法と呼ばれている。刑事の場合には刑事訴訟法である。事件が発生し主に警察組織により行われる捜査は刑事訴訟法によって諸々の手続きに関するルールが定められている。この手続法の関与者たちが刑法を適用するのである。言い換えると、刑法はどのような行為が犯罪にあたるのか、そしてそうした行為にどのような刑罰が予定されているかを明らかにする役割を持っている。
今回の論文では実際に発生した過去の事件を基に刑罰が適用されていく流れを追っている。また、アメリカのルイジアナ州バトンルージュで起きた日本人高校生殺害事件をまとめ、日米における刑法の比較も行った。
刑法を学ぶことにより、私自身の中で犯罪行為に対する考え方が変わってきている。被疑者(報道では容疑者という。)の複雑な感情や被害者とその周りの人々の痛み、これらを感じ取ることができるのではないか、そのように考えている。