液晶ディスプレイには、欠陥ドットが含まれている。製品として出荷できる欠陥ドットの許容値は、メーカーによってそれぞれ異なるが、ユーザーの側から許容値を割り出すことこそが大切であり、そのためには客観的な基準を見出す必要がある。
本研究は、現在の液晶ディスプレイにおける欠陥ドットの実情、および欠陥ドットがどのように人間(ユーザー)に認識されるのかを調査・検討するのが目的である。今回の研究では、コンピュータの出力装置としての液晶ディスプレイを使用し、ディスプレイの3原色である赤・緑・青と、シアン・マゼンタ・イエロー・黒の色別、および通常のワープロ使用時を想定した欠陥ドットの許容値の変化を、on欠陥(明点不良)とoff欠陥(暗点不良)という視点で研究した。その結果、off欠陥がon欠陥よりも検知しやすいことがわかったが、過去3年間およびメーカーの欠陥対策の根拠となった実験結果とは異なるものとなった。これは、これまでは白と黒との関係で実験を行ったが、今回は各色での関係で行ったためである。そのため、色が関係すると結果が逆になるという新たな発見があった。
また、大型出力装置である背面投射型プロジェクターでも同様の研究をし、液晶ディスプレイでの結果と比較した。その結果、個数の液晶と同じようにon欠陥の方が検知しやすいことがわかった。両方を比べてみると、背面投射型プロジェクターにおける欠陥ドットは、液晶ディスプレイにおける欠陥ドットよりも検知しづらいことがわかった。最後に、輝度の違いによる検知率の変化を調べることで、許容値を導き出すことができた。