田子島 一郎 ゼミ 平成14年度卒業論文
『考えるコンピュータ処理系』の作成
小高 友規

本研究の目的は、実際の世界またはコンピュータシステム上で自律的に考え行動する処理系を構築することである。風景から風景を連想するような、意識的ではなく記号やシンボルのほとんど現れない低次元での「考える」動作を自在に扱い、それを踏まえて行動する処理系「層構造イメージリアクタ」を完成させることである。現在、稼動している「層構造イメージリアクタ」は外部環境からの入力オブジェクトの特徴を抽出し、自分の記憶内のイメージと照合をおこない、またイメージからイメージを連想、新たな高次元イメージの作成などを行うことで適応行動をとる処理系である。従来の論文[1]では緩やかな変化が起こる外部環境を前提にしてシミュレーションを行ってきたが、その範囲では高い正解率と効率の良い学習が行われていることを確認してきた。これに対して、本論文ではこれまでと違った激しい変化を起こす外部環境を用いたシミュレーションを行い、従来の「層構造イメージリアクタ」は「激しい変化」に対しては適応しきれていないことを明らかにした。この要因や問題の現れ方を考察し、改良を提案することにより「激しい変化」に対して効率的に適応させることに成功した。シミュレーション結果とともに、その方法と効果についてまとめた。

[1]佐生,小高他,イメージ間の関係と反応を用いた層構造のClassifier System,電子情報通信学会2001年ソサエティ大会