現代、特に大学における創造性教育の重要性が叫ばれ、種々の試みがなされ始めている。しかしながら「創造性」とは何かの基本的認識が十分とは云えないのではないか。高等教育の中でそれをいかに個人の中で自己認識させていくかがまず必要であろう。そのためにはまず「創造」の原点に立ち戻り、その本質的な特性や人間の基本的欲求としての理解などの上にたって、創造的人格へのアプローチ方法を考えることが重要と考えた。そこで本論文では、まず基本的調査分析・考察を行い、それらを土台にして具体的技法を提案し、大学教育における問題点とそれへの適応について考察した。
1章では、教育における創造性の位置付け、日米比較などを行い、2章では、個人の創造性について考察整理し、3章では、個人の人格特性について分類、動機付け、従来の学説の考察などを行った。4章では、自己実現の創造性について、マズローの欲求階層説を中心に解説、分析をおこない、創造性の基本をまとめた。5章は、本論文の中心となる部分であり、類似の技法を含めて、創造技法としての位置付けのなかで、創造的人格への自己知覚技法の一つを提案した。6章では、成長過程における創造性の特徴のなかで、最近の大学生の問題点、創造性教育の現状などを分析した。7章が本論文のまとめであり、創造的人格へのアプローチ方法の提案、高等教育への有効性、今後本提案を検証していくことの重要性などをまとめ、結論とした。最後に本学の課題などについて付言した。