笹間 宏 ゼミ 平成14年度卒業論文
錯視の応用
田島 健

日々生活する中でよく感じる視覚の錯覚、つまり錯視に重点を置いて錯視の基本的な仕組みから始まり、世に溢れる多くの錯視画像を例に挙げ、原理を研究することで現代日常生活における多くの錯覚現象(錯視現象)について調べた。今日では長い歴史の中で積もり積もった多くの錯視に関する情報に満たされていて、事実と錯覚との境界線すら曖昧である。

錯視調査としてアンケートを作成し少数人数ではあるものの実施した。その結果を分析することで、人間の心理的作用を明らかにし、いかに人間の感覚というものが曖昧であるかということを実証した。そのことを踏まえた上で私たちが普段感じる錯視現象の例を挙げ、その原理を究明した。

私たちにとって楽しい錯視、便利な錯視、不便な錯視と形は様々あるが、どれもこれもごく日常的に起きることなので現実として受けとめ、惑わされないように注意することが大切であると導いた。結論としては人間の感性五感、特に視覚については曖昧であるものの、所詮は私たち人間が生活するうえでの手助け役の一部に過ぎないものである、という観点を変えることで惑わされずに済むということである。

人間という生き物は五感を補助的に利用することで日常生活を送っているわけであって、五感を利用するために生活しているわけでは断じてない。このことを念頭に置くことは極めて重要であると考える。この先、危険な錯視効果に遭遇したとしても、決して動揺することなく、己の心の目で物事を判断すればその状況から脱却することが出来ると思われる。