本論文は道路上の車両検知を目的とした「任意画像物体画像監視」システムの実験・検証を目的としている。本論文の車両検知とは路上駐車車両のことを指し、路上駐車車両の有無を「任意画像物体画像監視」システムにより判断していく。詳しく説明すると、駐車車両を対象とした時間の変化による2つの画像を用意し、その2つの画像に対して2値化処理を行う。そして、2値化された2つの画像を差分処理する。しかし、従来の方法では画像全体を処理範囲とするのに対し、本論文の研究プログラムではラバー図形を導入することにより任意物体のみに注目することに成功し、データの簡易性、自然環境等の冗長データの排除を可能とした。
実験結果からの考察として、入力画像を得る媒体としてデジタルカメラを使用したせいもあってか、2つの画像に若干のブレのようなものが障じてしまった。そのことから、結果にも若干の誤差が出てきてしまった。1番の問題としては、2値化を行うときの閾値の設定にあった。閾値を高くしすぎても、低くしすぎても、2値画像自体が不鮮明になり、ラバー図形で範囲の指定が困難になる。その結果、不必要であったはずの自然環境等のデータも含んでしまう。したがって、研究を重ねていった結果、1番適する閾値は100前後であることが研究結果からわかった。
本論文構成は全5章、全20節となっている。随所に適切なプログラム、参考資料、処理画像を用意した説明となっている。
第1章は本論文を作成するに至った目的と背景、そして、現在の日本の路上駐車の現状と交通事故との関係を述べ、その現状に対して行われている行政機関の対策方法を説明する。また、本論文作成の原案となったITS(Intelligent Transport Systems)についても触れる。 第2章は実際にVBプログラムを使って述べる。まず、基本理論である従来の2値化処理と差分処理について具体的に処理画像を用いて説明する。そして本研究プログラムの基幹部分である任意物体の抽出理論を2方法述べ、その結果の処理方法についても述べる。第3章は本研究のため作成した「任意物体画像監視プログラム」の機能について説明する。 第4章は「任意物体画像監視プログラム」を使用しての実験・結果を表示する。実験は閾値を使った場合とエンボスを使った場合との2パターン行い、結果も処理画像として表示する。 第5章は実験結果のまとめを述べる。また、本研究プログラムに対して残された課題も同時に述べる。