西村 明 ゼミ 平成14年度卒業論文
一対比較実験による音声符号化が音像知覚及び音質に与える影響に関する研究
芳賀 健史

音情報を伝送する際、ネットワークの通信容量の制限により音声符号化が必要である。「音声符号化が音像知覚に与える影響」という文献は符号化によって、聞き手の音像の方向と広がりの知覚に与える影響を調べる実験を行なった。文献の結果では、符号化によって音の方向の知覚はかわらないが、音像は広がって知覚するという結果がでた。しかし、文献の実験方法では符号化によって音像の方向の知覚に影響がないかわからなかった。

また、音像が広って知覚する結果は得られているが、符号化していない音に比べて、どの程度、音像が広がっているかわからなかった。そこで、符号化によって音像の方向の知覚に違いがあるか調べる実験と音像がどのくらい広がって知覚されるか、また音質を、二つの音を提示して聞き比べる、一対比較法で聴取実験を行なった。

結果は音像の広がりに関しては、32kbit/sのように低いビットレートの場合に、被験者は音像を広がって知覚していた。

方向に関する知覚は広がって知覚された音を、音がずれたとして判断した可能性があるが、左60度から音を提示した場合に32kbit/sのように低いビットレートの音は右にずれて知覚されることがわかった。

音質は符号化することによって、32kbit/sのように低いビットレートは音質を悪くなることがわかった。また、TWinVQやMP3のようにエンコーダーの品質が悪いと、96kbit/sのような高いビットレートでも音質を悪く判断することがわかった。