小宮山 隆 ゼミ 平成14年度卒業論文
インターネットによる地域活性化
津島 香里

インターネットの普及は、世界規模での情報収集を可能にした。だが、本稿では、世界をつなぐネットワークは、身近な地域をつなぐネットワークでもあるという考えのもとに、インターネットを使って地域の活性化を図っている事例を考察の対象とした。

水沢ネットクラブは、地域の仲間やその地域に関心を持つ人たちが集い、交流を深める場所である。そのようなことを通して、地域の魅力や活力を高めつつ、新たな地域文化の創造を目指すことを目的とした地域ネットワークコミュニティーである。

SOHO CITY みたか構想は、SOHOという事業形態を上手く利用しながら、東京都三鷹市の推進により成功を収めた例である。これは、インターネットを活用した地域活性化のほかに、高齢者や障害者の社会参加や女性の就業機会創造など、地域の更なる発展につながる効果も発揮している。

湯河原温泉ドットコムは、湯河原温泉及び、周辺の観光業を応援するサイトを目指すということで、神奈川県と静岡県の2つの行政をまたいで、隣接する4つの地域の活性化を測るために発足したものである。行政に頼らず、自分たちの力で活性化させていき、観光客を少しでも増やそうというものである。

かつてどの地域にも生活の中心として「商店街」があった。地域が活性化されていくかどうかは、その地域の「商店街」の浮沈にかかっているように思う。インターネットの普及した現代だからこそ、それを利用した商店街の活性化、生活のコア作りを目指していくべきではないだろうか。若者の流出に悩む地方において、若者たちに故郷へ帰りたいと思わせるような体制作りに、インターネットがどのように寄与しうるかを、上記の事例を中心に検討した。

ただ実際には、インターネットを取り入れるだけの財政的余裕がないことや、それに応じた効果や利益があがらないなどといった問題も事実としてあげられる。他にも「インターネットの普及」は高齢者にとっては例外であり、パソコンに慣れ親しんでいる高齢者は数少ないという問題点もある。しかし、こうした障害を克服できれば、ネットワークを通じた世代間の交流も深まり、生活の改善や人間形成などへとつながっていくことが期待される。