お金(つまり貨幣)って何? 原始時代、人類は自給自足だった。やがて、物々交換という方法で、自給自足では得られない物品をお互いに手に入れるようになる。しかし、物々交換はお互いが物品を持ち寄る必要があるなど、不便な面がある。汎用性のある貨幣は人類の発明した偉大なものの一つといってよいだろう。ただし、貨幣には金額が大きくなると重くなるという欠点がある。そこで考えられたのが、紙幣だ。日本で最初のお礼が登場したのは、約400年前。「山田羽書」という私製のお札で、幕府でも藩でもなく、商人の間で生まれた。また、離れた都市を結ぶ取引では、金、銀を運ぶ代わりに手形が使われた。戦前までは、紙幣と金との交換を国家が保証し、それによって紙幣の信用が保たれていた。原始貨幣の研究によると、金、銀、銅、青銅、黒曜石、石の円板、ガラス、小麦、米、砂糖、貝、鯨の歯、蜜蝋、人間の奴隷など古今東西にわたってその素材は広範囲であり、「なんでも」お金になりえた。種々雑多な素材のなかから貨幣財として金が選抜された後も、地のままの金貨⇒軽くなった金貨⇒兌換を保証された紙幣⇒兌換されない紙幣⇒その不換紙幣にかわって、現在はエレクトロニクスの情報コードが貨幣になりつつある。
現金には支払う手段としての効果を貫徹するために、強制通用力、支払完了性、不特定性・匿名性・代替性がある。現金を金額で表される交換価値そのものと考えれば、有体物である必要はない。
さて、現代ではさまざまな決済方法が使われている。最も身近な現金による決済、さらに現金を介さない支払方法として、給与の銀行振込、公共料金やクレシットカード利用代金の口座引落し、小切手などがある。ただ、個人レベルの支払手段としては、やはり現金が最も多く、日本では個人支出の95%を占める。「日本人は現金が好き」といわれる。個人支出に占める現金・小切手による決済の割合は、世界平均では88%で、クレジットカードなどカード決済が12%だ。クレジットカードをよく使うイメージがある米国でも、個人の決済では現金と小切手が8割近くを占める。しかし、インターネットの世界は財布から現金を出しても相手に手渡せない。そこで、従来からあるクレジットカードなどが使えるように、さまざまな仕組みが提案されたり、電子マネーのようなまったく新しい決済方法が提案されたりしている。この論文では電子マネーについて、いろいろな側面から論じた。