小宮山 隆 ゼミ 平成14年度卒業論文
文字コードと言語文化
蘇布登格日楽

この論文で取り上げた文字コードの話は、私達のように情報処理教育を受けている者はともかく、多くの人々にとってそう興味のある話題ではないように思われる。しかし、文字の問題は文化の問題でもある。文字コード問題は、日本だけでなく、漢字文化圏全体の問題でもある。第一章では日、中、台、韓の文字コードを別々に紹介した。

現在、私達は生活のあらゆる場面でデジタル化された文書に接している。大学でのレポート、ビジネス界での書類、資料など、全部コンピュータで作成するのが普通になっている。今後は、官庁の公式書類、戸籍や保険証も電子化されて保管されていく。書籍も、今はほとんどが、一度はデジタルデータ化されている。第三章、第四章では、電子図書館と住基ネットの問題点を考察した。

各国の文字コードは、国ごとに決められているから、国境をこえて文書をやり取りしようとすると、いろいろな問題が起こる。現在、コンピュータの世界はユニコードというグローバル・スタンダードに切り替わろうとしている。世界各国の文字体系に対応できるようにまとめられた文字コードで、2万字余の漢字も収録されている。ところがアメリカで作られたユニコードは、日本をはじめとする漢字文化圏相互の整理が不十分で、問題点が数多く存在している。第二章ではユニコードについての国際的な問題を取り上げた。

今、私が中国にいる友人に電子メールを送る際は、中文でも、モンゴル文字でもなく、モンゴル語の発音をローマ字で書いている。中国語で、さらには母国語のモンゴル語で入力できたらいいなと思い、関連のホームページからモンゴル文字のフォントをダウンロードして、文字入力を試して見た。うれしいことに、コンピュータ画面に母国の文字が現れてきて、とても久しぶりに親友に会ったような気分だった。最後の第五章では、知らない人にとっては、おそらく「変な」モンゴル文字が日本語環境のパソコンで入力できることを示すことにあてた。

文字コードの開発にあたっては、市場の妥当性だけでなく、少数民族や学術上・行政上の必要性等も考慮すべきだと思う。