小宮山 隆 ゼミ 平成14年度卒業論文
情報のリンクと共有
清水 崇博

現在のコンピュータやネットワークの基礎となっている思想や技術を,Vannevar BushのMEMEX,Douglas EngelbartのNLS(oN Line System),Theodor Holm NelsonのHypertext,あるいはProject Xanaduとたどってみると、Ted Nelsonの"WWW is NOT hypertext"という言葉に端的に見られるように、WWWの現状は、彼らが言う「あらゆる事象が物理的にではなく感覚的に関連(リンク)し合い、この世にあるすべての存在が繋がっている」という理想を必ずしも実現していないことが理解される。

そうしたインターネットの構造自体を変える可能性を秘めた存在として、音楽ファイルの自由な交換(=著作権の侵害)で話題を集めたNapsterをはじめ,Gnutella,FreenetなどPeer to Peer(P2P)アプリケーションがいま注目を集めている。本稿では、これらの考察を通じて、「知の共有のためのコンピュータ・システム」(Engelbart)というアイデアを真に実現するものとしての"P2P Network PC"の可能性と問題点を検討した。