川口 信行 ゼミ 平成14年度卒業論文
松本サリン事件とマスコミの誤報・虚報についての考察
町井 健太郎

私が最初に「報道」に対して疑問を持ったのは、1997年、神戸で起きた猟奇的な小学生殺人事件のときであった。あのときマスコミは、間違いだらけの犯人像情報を流したが、逮捕されたのは中学3年の少年であった。なぜあんなあやふやな報道をしたのか。他にも似たような事件はないのか。調べていくうちに1994年に発生した松本サリン事件に行き当たった。この事件では、一市民であり、被害者でもあった河野義行さんが、警察によって犯人のように扱われ、家宅捜査され、厳しい取り調べを受けた。その警察情報を鵜呑みにしたマスコミが、河野さんを犯人視した報道を続けた。発生した有毒ガスがサリンと分かっても、警察は「河野犯人説」を見直さず、マスコミも1年にわたって河野さんを苦しめた。なぜか。記者クラブ制度と関係があるのか。マスコミには合理的思考が欠如しているのか。事実経過を追ってみた。