カンボジアのアンコールワットを見学にいった私に突然、衝撃が走った。一つ年下のガイドさんからポル・ポト政権の恐怖政治、虐殺について教えられたのである。のどかな田園風景とは、話の内容があまりにも違い過ぎた。自分の無知を恥じ、帰国して早速、ポル・ポト政権について調べはじめた。ポル・ポトとはいったい何者なのか。どういう生い立ちをたどり、いつ政権を握り、なぜ大量虐殺を行うまでに至ったのか。カンボジアの歴史と周辺諸国との複雑な関係は? オンカーと呼ばれる末端の指導者の果たした役割は何か。強制移住、共同農場の実態とは? 300万ともいわれる虐殺は、本当にあったのか。本当だとすると、なぜそんなことが起きたのか。1975年から79年にかけて起きた「恐怖」の謎を追う。