日本のテレビ放送は1950年代に始まるが、視聴者を引きつけたという点で、切っても切れないのが力道山の登場とそのプロレス中継である。視聴率が50%を超えることも珍しくなかった。続いてジャイアント馬場とアントニオ猪木の時代を迎え、それぞれテレビ局とタイアップし、試合中継を競い合う。なかでも革新的な興行を試みたのがアントニオ猪木で、異種格闘技戦を展開、関心を呼んだ。1970年代には、マッハ文朱の出現で女子プロレスの人気が沸騰、さらにはK1、PRIDEなどプロレス以外の格闘技興行が仲間入りしてくるが、地上波でのテレビ中継は数が少なく、スポーツ新聞や専門雑誌の情報も限りがあった。その点、1996年CSデジタル放送が開局、格闘技専門チャンネルが生まれたのは画期的なことで、当然新しいファン獲得のための宣伝・工夫が要求される。「芸術」としてのプロレスをどう見せるか。