桂 敬一 ゼミ 平成14年度卒業論文
個人情報保護法に関しての考察
前田 恒一

日本初の本格的な個人情報保護法案は、2001年の政府提案以後、2002年通常国会・臨時国会で2度にわたって継続審議となり、当初案を大幅修正して2003年通常国会でようやく成立が図られることになりそうである。マス・メディアやジャーナリストたちが、政府案はメディアへの不当な規制を含む、と反発したことから、このような事態になった。だが、一方で、インターネットや電子商取引の普及は、個人情報保護法制の整備を求めており、いつまでたっても個人情報保護法ができないのでは、日本における情報社会の安定した発展が阻害され、それはそれで重大な問題となる。

そこでこの論文では、政府提案全体を改めて批判的に検討、そのどこにどのような問題が潜んでいるかを、分析してみた。その結果、当初の法案にも報道事業への配慮は含まれているが、国はさらに報道の自由を大きく尊重する方向での修正を施し、早期にこの法律の実現を図り、それが本来目指すべき、社会全般における個人情報保護の制度的環境を迅速に整えるべきである、とする結論を得るにいたった。