伊藤 敏朗 ゼミ 平成14年度卒業論文
わが国における自主映画の映画祭に関する研究 〜自主映画映画祭データベース〜 
笠原 達也

ディジタルビデオカメラ(DVカメラ)と、パソコンによるノンリニア編集の普及は、映像制作の環境におおきな変化をもたらし、個人で映像製作をおこなう人々の層が増大している。このような趨勢を受けて、作品発表の場となる各地の自主映画祭もその数・規模ともに拡大しつつある。映画(ドラマ)だけでなく、ドキュメンタリー、ホームムービー、CG、インターネットコンテンツなどの、さまざまなスタイルと内容をもった作品が、これらの映画祭によってひろく紹介され、パッケージ化され、レンタル・販売等がおこなわれ、あるいは衛星放送やブロードバンド配信などで流通するようになってきた。このように、"インディーズ・ムービー"の質的・量的拡大は、わが国の映像文化の一つのジャンルを形成しつつあるといえよう。映画制作や映画祭をとおして地域振興をめざすケースなどもあらわれており、映像文化そのものの概念も変わりつつあるかのようである。本研究は、わが国における、このような自主制作映像の今日的現象をはばひろくとらえつつ、各地の自主映画の映画祭の現状を調査し、これをデータベース化したものである。最初にインターネット上の公開情報を網羅的に調査し、つぎに主要な映画祭については現地取材をおこなって、その実情を記録・解明した。特にコンペティション形式の映画祭について、その目的、対象、応募要領、さらに映画祭の傾向などについて分類整理をおこなった。このような自主映画祭の発展と充実は、新たな才能の発掘・育成の場としても機能しつつあり、日本映画復興のおおきな原動力足りうることがわかった。