近代、世界では社会主義の崩壊によって、世界全体が資本主義化している。21世紀に入り、世界資本主義がますます拡大・深化していくだろうとされている。世界における資本主義的経済圏は、EUを中心とするヨーロッパ、NAFTAを中心とする北アメリカ、それに日本を含む東アジア諸国である。
世界資本主義の中でも、東アジア広域経済圏の形成はごく最近のことである。そのことからも、アジア資本主義の形成と急激な発展は、世界政治・経済に大きなインパクトを与え、戦後の20世紀体制から、新時代の21世紀体制への世界の転換の重要な条件となる。
アジア諸国の経済が世界に注目されるようになったのは、1950年代後半からの日本の高度経済成長に始まり、ついで70年代からの東アジアNIEs(香港、台湾、韓国、シンガポール)、80年代後半からASEAN諸国、90年代に中国、さらに最近ではベトナムというように、資本主義的工業化が成され、最近では域内諸地域・諸国の貿易・投資の相互関係が強まり、東アジア広域経済圏の形成が明確になっている。
1980年代後半から、90年代前半にかけて急激に成長を続け、「東アジアモデル」による"アジアの奇跡"として国際的注目を集めたアジア諸国ではあるが、1997年に入って金融・通貨パニックによるアジア経済危機が波及した。それに、日本のバブル崩壊が重なり、アジア諸国経済の今後の成長は、絶望的なもとなってしまった。しかし、今日の段階に入り、マレーシア・タイ・韓国では、経済危機からの回復を見せている。また、中国・シンガポール・台湾もさらに発展を遂げており、インドなどもアメリカと連携したIT革命による急速な成長をみせる地域が現れている。
急激すぎる成長により、一時は危機的状況にまで陥ったアジア諸国経済圏ではあるが、その危機を教訓とし、現在多様なアジア諸国の国々や人々が、経済的、政治的・社会的側面においても相互の地域協力を強めている。この地域協力はの進展は、新しい共生社会の可能性を開くものに違いない。その意味で、現在おかれているアジア諸国の状況は、"新アジア時代"の新しい可能性の出発点といえるのである。