格闘技にはさまざまな種類がある。ボクシング、空手、ムエタイ、キックボクシング、テコンドーなどの四肢による打突動作を中心とした競技。レスリング、柔道、ブラジリアン柔術、相撲などの組技、寝技などを中心とした競技。そして近年では打突動作、組技、寝技といった格闘技における要素すべてをみとめた総合格闘技といったものが、さまざまなメディアに取り上げられ注目を集めている。本研究はそのような格闘技の中でも四肢による打突動作を中心とした競技で多用されるミドルキック(中段回し蹴り)が、2連続(コンビネーションとして見る)で行われたときどのような動作で行われているか着目し、スポーツバイオメカニクスの観点から分析した。分析の流れとしては、まず格闘技経験のある被験者と、ない被験者のミドルキックから3次元座標を算出し、どのような違いがあるのか、そしてそこからどのようなことが考えられるか、参考文献などを元に分析を進めた。分析の項目としては、右脚の膝角度変化(蹴り脚)、重心の高さ変化、右足先の速度変化を設けた。
実験の結果からインパクトの瞬間には蹴り脚の膝を伸ばす、重心の上昇が止まってからインパクトを迎えたほうがよい、といったことがより実戦的なミドルキックを行う上で重要な要因の一つとしてあるのではないかといったことが考察された。