本研究では、バスケットボールのドリブル動作のなかでも、有利な位置に移動するドリブルではなく、相手ディフェンスを抜く攻撃的なドリブルについて研究を行った。動作の中でも特にドリブル始動動作、"ドリブルの突き始め"に着目した。なぜなら、相手ディフェンスは、ドリブルの突き始めなどドリブルのコントロールが崩れたときが、ボールを奪うチャンスだからである。ドリブル始動動作は重要であり、確実なボールコントロールが要求されるのである。被験者は、未経験者1名(A)と経験者2名で、経験者は普段からバスケットをしている(B)としていない(C)を選出した。チェックポイントとして、リリースまでのボールの移動・逆側の手のボールカバー・左右差の3つに着目して研究を進めた。
未経験者Aはボールを低い位置から高い位置に移動してからリリースに入っており、その高低差は約40cmと大きく、ディフェンスに奪われやすい高いドリブルになっている。さらに、逆側の手が下がっており、ボールをカバーしていない。それに対して、経験者B、Cは、ボールを低い位置に保ったままリリースに入っており、高低差は約5cmほどで、低く、素早いドリブルができている。逆側の手は常にボールに近い位置にあり、ディフェンスからボールをカバーしている。左右差に関して、Cは右手でのドリブルでは低く、素早いドリブルができているが、利き腕ではない左手でのドリブルは、Aのような高いドリブルになっている。これは、Cは普段からバスケットをしていないために、右手、左手の不得意のない、常にディフェンスを意識したドリブルをすることができていないと考えられる。これらのことから、未経験者Aより経験者B、Cの方が、さらに普段からバスケットをしているBの方が、より実践的なパフォーマンスをしているといえる。