本研究は、スケートボードにおける基本動作である「オーリー」(スケートボードと一緒にジャンプする技)に着目した。オーリーで跳び越える障害物の高さを変えていくと、動作にどのような変化が見られるか実験的に調べた。被験者は本大学の学生で、スケートボードの経験は6年間、オーリーの最高記録は82cmである。30cm・50cm・70cmの障害物を作成し、縦230cm・横800cm・高さ185cmの架空の長方体撮影エリア内で、被験者にオーリーで跳び越えさせ、それらの結果を重心の変化・右膝角度の変化・左腰角度の変化に着目し比較した。
重心の変化では、助走動作とオーリーピーク時(重心高最高時)に着目した。助走動作時の跳躍予備動作の沈み込みによる重心変化は、バー高30cm時は約12cm、バー高50cm時では約8cmの違いがみられた。特にバー高70cm時は約26cmの大きな重心変化が見られた。オーリーピーク時の重心の変化ではバー高30cm時とバー高50cm時ではその差約5cm、バー高50cm時とバー高70cm時では約3cmの差が見られた。
また、右膝角度変化の分析ではバー高70cm時で、多くの過去の文献で確認できる、最も大きな力を出せる膝角度110度付近で跳んでいた。それ以外のバー高30cm時・50cm時の跳躍では110度付近で跳んでいなかった。
左腰角度(肩腰膝で作る角度)変化の分析では、重心最高時点で、バー高30cm時の約45度。バー高50cm時は約37度。バー高70cm時は27度となっていた。これらのことと重心そのものの変化があまりないことから、バー高50cm以上を飛び越える際には、空中で腰を深く屈曲させていかなければバーを飛び越えることができないことが示された。