わが国におけるリース利用率は、リース事業協会が2000年に企業10,000社を対象に行った調査によれば、90パーセントにも達しているという。つまり、今では企業のほとんどがリースを認知し、リースを利用して設備投資を行っているといえるだろう。
しかし、日本においては、『リース』という言葉を耳にはするが言葉の普及に反し、その内容が的確に把握されていないのが実情である。それはリース産業が日本に誕生したのが1963年と比較的若い産業であり、経済活動の変化とともにその取引内容も複雑さを加えていることが一つの原因とも考えられているからである。そこで、リースの基本的概念、発展の背景から、今後のリース産業の将来性などの推進プログラムをとりまとめた。
もともと、リース産業とは、米国において発展した産業である。したがって、米国はリース業発祥の国であり、1950年代から事業として始まった。現在では、金額にして年間2千億ドル以上、民間設備投資額の約30%がリースによって調達される産業として大きく発展してきている。
米国で隆盛をきわめていたリース産業に着目し、日本にリース産業を導入したのは当時のリコー社長である。のちに、商社や不動産関連会社、続いて都市銀行相次いでリース業に乗り出してきた。この背景には、高度成長期にあって産業界の旺盛な設備投資意欲と、これをまかなう設備資金の供給不足が生じたこと、さらには急速に進む技術革新などに対応してリースが新しい設備調達手段として注目されてきたことがあげられる。
今では、企業の設備調達手段として、多くの企業にリースが利用されてきている。今後においても、技術革新の先取りという背景をもちながら、業務の多角化、資金調達の多角化、国際活動の拡大など、大きな変貌を遂げていくものと考える。